お店のお休みをいただき、ロシア映画「
Т-34」を観てきました。
関西では2つの劇場でしか上演しておらずで全然この上映情報を知らなかったのですが、たまたま昨日ラジオで紹介しているのを聴き、さっそく映画館に足を運びました。
それにしても「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」って日本語タイトル、戦車好きならともかく、ロシアに関係ある映画だなんてふつうの日本人は気がつきませんよねえ・・・。
第二次大戦下、ドイツの捕虜になっていた主人公のニコライと3人の戦車兵が、ドイツ軍の戦車戦演習のためにT-34を操縦するように命じられます。
戦闘の末にドイツ軍が手に入れた1台のT-34は、ソ連の最新型戦車。あくまでドイツ戦車が実践に備えるための「訓練」なので、T-34には武器が備えられません。要するに、オオカミの群れの中に羊が1匹放たれるゲームのようなもの。
死を覚悟してドイツ軍の命令に従うニコライですが、戦場からそのまま運ばれただけで放置されていたT-34の中を探ると、ソ連軍兵士の死体の下にはあるものが隠れていて・・・。
主人公のニコライ・イヴシュキンは、相手戦車の砲の角度や発射の速度、陣形などを冷静に判断して仲間に命令をする頭脳型リーダー。とはいえ、頭でっかちではなく行動力もあり、優れたリーダーシップで仲間たちからの信頼も厚い人物です。ずっと「ユアン・マクレガーに似ているな」と思いながら観ていました(声まで似ている)。ところが役を離れて、プレミアなどできちんとした服を着ている写真を見ると、そこはかとなくロシアのあんちゃん臭が・・・。不思議です。
ニコライのライバル的存在、ドイツ軍のイェーガー大佐。ライバルとは言っても、ニコライは捕虜なのでイェーガーに一方的な支配権があるのですが、彼はどこかニコライに一目置いているような態度を取ります。薄い唇とカクカクした輪郭の感じがエディ・レッドメインに似ているなと思って観ていましたが、写真で見るとそうでもないですね・・・。という、ハンサムさんの鑑賞も楽しいのですが。スケール感がすごくて、戦車にめちゃめちゃに壊されるロシアの田舎とか、ドイツのきれいな町のシーンでははらはらしっぱなし。車内のリアルな描写に、わたしまで一緒に戦車に乗っている感覚にさせられました。すぐ近くで爆弾が落ちると、衝撃で耳がきーんとする感じとか、全身がんがん揺さぶられる感覚がリアルで辛かったです。これ、ロシアではIMAX上映だったそうですよ・・・。腕利きの操縦士ステパンが、ごーっと戦車を転回させるところとか、片輪乗り上げてもがーっと走るところとか、迫力満点で戦車とかメカ好きさんはわくわくするはず。この画像はオフショットですが(楽しそう)。ロシアらしくふっと笑えたり、なごめるシーンがあったり、友情やロマンスがあったりで。胸アツの人間ドラマとしても楽しめました。宣伝チラシなどのビジュアルを見るとがちがちの戦争映画って感じですが、どちらかというと冒険活劇のような雰囲気です。あまり日本では知られていませんが、「面白い」とのクチコミでお客さんも増えつつあるそうです。私が劇場に行ったのも平日お昼でしたが、客席はそこそこ埋まっていました。レディースデーなのに男性がほとんどでしたけどね・・・。
本当のところ、わたしはどちらかというと戦争映画が苦手です。でも、観ておくべきだとも思うのです。戦場というものがどんなに恐ろしくてみじめで辛いものなのか。敵国とはいえ、同じ人間を殺すということがどれだけ精神にダメージを与えるものなのか。戦争映画を観て、自分に置き換えて想像力を働かせることができれば「戦争しかないでしょ」なんて口にできないと思うんですけど・・・。